サンデル教授のこと、覚えていますか NHKでたいへん人気が出た『白熱教室』、私はちょっとだけ見ました。当時はあまり関心が持てなかったのですが、最近放送大学大学院科目『公共哲学』というのを履修しまして、番組が(そしてサンデル教授の専門の)取り上げた「公共哲学」という分野を勉強しました。 とても面白かったので、放送大学のテキストを超えて、もう少し勉強してみようと思っています。 公共哲学について勉強してみる 哲学という学問は広くいろいろな問題を取り上げています。公共哲学は、その中でも公共の問題について、何が公正なのか、何が正義なのか、そもそも公共とは何か…といった問題を考える学問のようです。 源流をたどれば、アリストテレスまでさかのぼれるのですが、現代の学問分野として注目されたのは最近で、1971年にジョン・ロールズという哲学者が『正義論』という本を著したのがきっかけになっているようです。この『正義論』とロールズは、いわゆる「リベラル」という立場について精緻な理論的背景を作ったとされています。 素人の私の見立てですが、公共哲学はアリストテレスの「善」や「徳」を遠景に、カントの実践理性や、ベンサム・J.S.ミルの功利主義を中景にとりつつ、現代になってロールズのリベラリズムが大いに議論を呼び、その後ノージックらのリバタリアン、そしてサンデルらのコミュニタリアンからの批判などを受けて、議論が続いている、ということになるようです。また、アーレントやハーバーマスらの議論も影響が大きいようですね。 コミュニタリアン リベラリスト、リバタリアン、コミュニタリアンなど、思想的な立場を要約するラベルがいろいろあるようです。簡潔に議論を進めるには便利ですが、あまりラベルに頼りすぎるのも考え物です。党派的な争いにつながりかねないので… とはいえ、とりあえず自分の立場を仮に決め、勉強して思想を深めていくのに、「自身が何者であるか」「自分がどのような考え方に同情的なのか」を認識し、場合によってはそれを表明するのは、(不毛な議論を呼んでしまうかもしれませんが)悪くないように思います。 そして、どうも私はコミュニタリアンに近いようです。リベラリストかと思っていましたが、どうも勉強してみるとこの思想だけでは現代の課題に十分には答えきれない気がします。これからまた勉強をして
私が興味をもってあれこれ本を読んでみたことなど紹介するブログです。 誰かが何かを調べたり、学んだりする助けになれば、なおよいです。 新書を通じて専門的な研究分野に入門してみたり、文庫を買ってきて古典的な作品を読んでみたり。放送大学の授業を受講した記録や、YouTubeなどWebのコンテンツから学んだことなども紹介したい。 「世界は興味深い」「研究者が研究していることは面白い」「大人になってからやる勉強は楽しい」そんなことを伝えたいです。