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1月, 2020の投稿を表示しています

公共哲学を勉強してみる

サンデル教授のこと、覚えていますか NHKでたいへん人気が出た『白熱教室』、私はちょっとだけ見ました。当時はあまり関心が持てなかったのですが、最近放送大学大学院科目『公共哲学』というのを履修しまして、番組が(そしてサンデル教授の専門の)取り上げた「公共哲学」という分野を勉強しました。 とても面白かったので、放送大学のテキストを超えて、もう少し勉強してみようと思っています。 公共哲学について勉強してみる  哲学という学問は広くいろいろな問題を取り上げています。公共哲学は、その中でも公共の問題について、何が公正なのか、何が正義なのか、そもそも公共とは何か…といった問題を考える学問のようです。 源流をたどれば、アリストテレスまでさかのぼれるのですが、現代の学問分野として注目されたのは最近で、1971年にジョン・ロールズという哲学者が『正義論』という本を著したのがきっかけになっているようです。この『正義論』とロールズは、いわゆる「リベラル」という立場について精緻な理論的背景を作ったとされています。 素人の私の見立てですが、公共哲学はアリストテレスの「善」や「徳」を遠景に、カントの実践理性や、ベンサム・J.S.ミルの功利主義を中景にとりつつ、現代になってロールズのリベラリズムが大いに議論を呼び、その後ノージックらのリバタリアン、そしてサンデルらのコミュニタリアンからの批判などを受けて、議論が続いている、ということになるようです。また、アーレントやハーバーマスらの議論も影響が大きいようですね。 コミュニタリアン リベラリスト、リバタリアン、コミュニタリアンなど、思想的な立場を要約するラベルがいろいろあるようです。簡潔に議論を進めるには便利ですが、あまりラベルに頼りすぎるのも考え物です。党派的な争いにつながりかねないので… とはいえ、とりあえず自分の立場を仮に決め、勉強して思想を深めていくのに、「自身が何者であるか」「自分がどのような考え方に同情的なのか」を認識し、場合によってはそれを表明するのは、(不毛な議論を呼んでしまうかもしれませんが)悪くないように思います。 そして、どうも私はコミュニタリアンに近いようです。リベラリストかと思っていましたが、どうも勉強してみるとこの思想だけでは現代の課題に十分には答えきれない気がします。これからまた勉強をして

リブレット(小冊子)

山川出版のリブレット 山川出版社が「リブレット」という判型で複数のシリーズを出版しています。 世界史リブレット 日本史リブレット 世界史リブレット人 日本史リブレット人 Wikipedia によると、リブレット(Libretto)はイタリア語で「小冊子」を意味するそうですが、実際、A5変型サイズで100ページ前後と、小冊子です。ページ数だけ見ると、新書の半分くらいですが、写真や図、絵を多数入れているので、ページ数よりもさらに少なく感じます。取り扱っているトピックをかなりコンパクトに限定しているので、それが可能になっているのだと思います。 教科書には載らない細かな歴史や、新たな研究成果を知る 興味のある歴史上の人物についての本を読めば、研究が進んでわかってきた、これまで知られていなかった事実を教わることができます。歴史のある時代の社会史の本を手に取れば、過去の人々の生き生きした生活の様子を知ることができるでしょう。 当該分野の専門家が丁寧に一般向けに書いていて、とても読みやすく、面白いです。

ロウソクの科学

ノーベル賞を受賞した方が読んだ、というので、30年ぶりに手に取ってみました  中学生の時か高校生の時か、一度買って手元に持っていたものの、途中で嫌になって読むのを止めたんですよね。文章で書かれた実験の様子がうまく読み取れず、その意義(何を確かめる実験なのか)も読み取れないという、残念な少年だったもので… やっぱり読めなかったので、図解本を買ってきました さすがに大人になったから読めるだろう、という見通しは甘かったです。やっぱり図や写真が無いと分からない。どういう実験なの?なぜこういう実験をした?何を確かめようとした?…30年前と違ったのは、今の世間には親切に教えてくれる本があることです。 『図解ロウソクの科学』 は、テレビなどで面白い科学実験を見せてくれる、でんじろう先生のお弟子さんにあたる 市岡元気 氏が監修した本です。実験のようす、その意義が分かりやすく説明されていますし、ファラデーの本には無い化学式による説明も補足されていて、とても分かりやすかった。 ロウソクの科学にとどまらない、『ロウソクの科学』 市岡氏の本の助けもあって、三度目の正直で読み通せました。 読み通してようやく分かったのですが、ファラデーの講演は、ロウソクを題材にとっているのですが、ロウソクだけについて語っているのではなく、ロウソクの燃焼を通じて、様々な化学的現象を説明しようとしています。 ざっと思い返してみるだけでも、次のような話題・実験が出てきます。 物質の状態変化(固体・液体・気体) 物質の化合・酸化(燃焼) 炎色反応 水(化合物)の電気分解 中学理科の化学分野の相当な範囲に関わっていますね。 これは確かに面白い。知的好奇心をそそられます。中学生・高校生はもちろん、化学について忘れてしまった大人にもお勧めしたいですね。 (補足)市岡元気氏のYouTubeチャンネル GENKI LABO まだちゃんと見てませんがすごい実験動画がたくさんありそうです。