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科学雑誌の別冊を読む意義

 どの書店にいっても、科学雑誌としてNewtonと日経サイエンスは並んでいます。いずれも月刊誌ですが、海外の記事が中心で、一般向けの日経サイエンスと、日本で独自に編集され、中高生に対する教育的な意義も視野に入れているNewtonとで、誌面の違いがあり、両方読んでも面白いこと間違いありません。

そして、どちらにも、別冊があります。

Newtonの別冊

Newtonは、いろいろな判型で別冊や特集を出しています。本誌の特集記事の再編集が中心ですが、特に科学各分野の基礎的な話題について、中高生から一般に向けた啓蒙書が充実しています。いろいろな判型・出版形式があるので、選びやすいですね。

ニュートン別冊・ムック・増刊

 Newton別冊が、本誌の特集をまとめた上に、当該分野の専門家へのインタビューや寄稿が追加されているかたちなので、最上位のレベルにあると思います。

Newtonライトはページ数少なめ・文字数少なめ・イラスト、イメージ多用で軽く読めます。

増刊は、Newtonライトに近い易しめのレベルで、月刊。本誌の半分くらいの価格設定。中高生にフォーカスしていると言ってよさそうです。

その他、雑誌・ムックの判型ではありませんが、『ニュートン式 超図解  最強に面白い!!』という書籍のシリーズがあり、こちらはNewtonライトと別冊の間に位置付けられる感じでしょうか。社会人で、ライトではちょっと物足りない、という場合に合いそうです。

 日経サイエンスの別冊

 一方、日経サイエンスの別冊は、やはり本誌記事を再編集したものですが、Newtonの別冊よりも、応用分野や、社会への影響のある分野に寄っているように思います。また、各記事の記述のレベルは高く、一定の基礎知識が無いと読むのに苦労するのではないかと思います。

 先日、『感染症』を読みましたが、正直なところ、私には難しい内容が多かったです。でも、日本の新型コロナウイルス対策の専門家会議のメンバーへのインタビューなど、時事的な問題を正面から扱っていて、大変に力の入った誌面でした。

 

別冊は、複数号にわたる本誌の記事をまとめて提示してくれるので、特に今回の感染症の流行という事態のもとでは、とても勉強になります。時間の経過とともに、何が起きたか。科学者には何が分かってきたのか。人々はどう振る舞ってきたのか。

 一度本誌で見た内容でも、違ったまとめられ方になることで、学ぶことが多いです。

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