2020年1月頃から、中国武漢で発生した新型コロナウイルスの脅威が取りざたされるようになり、2月にはダイヤモンド・プリンセス号の事態が起き、3月には公立小中学校の休校が行われ、またトイレットペーパーの買い占めが起きるなどしています。
感染症そのものの恐ろしさのほか、不安、パニックが蔓延することの怖さを感じざるを得ません。
そんな中なので、自然科学の範囲では感染症がどのように研究されているか知りたいと思い、書店で本を探してみました。
『新しい免疫入門』
講談社ブルーバックスの一冊、『新しい免疫入門』を読んでみました。免疫については、高校生の時分に授業で学び、またその後『免疫の意味論』(多田富雄著)を読んだっきりでした。正直全然覚えていなかった…(この記事を書きはじめたところで、「自己と非自己の区別をどうやってるんだろう?」というのが『意味論』の中心的な問いの一つだったことを思い出しました)。
そんなわけで、読んで分かるか不安でしたが、著者はとても丁寧に書いてくださっています。
前半から中盤にかけて、丁寧に免疫(自然免疫と獲得免疫)について、現在の科学で分かっていることを書いています。21世紀になってから、多くの決定的な発見があったとか。章ごとに、節ごとに、前で述べた分の要約を載せてくれていますし、繰り返し全体像のどこに位置付けられるか確認したりもしてくれています。
正直なところ、全部理解したとは言い難いですが、なんとなく見通しが出来た気がします。
まだまだ分からないことだらけ
この二十年で大きな発見がいくつもあったそうですが、終盤に語られる「免疫記憶」や「自然炎症」などは、まだ分からないことだらけで、現代生命科学のフロンティアなんだそうです。免疫についての研究が進むと、がんや自己免疫疾患の治療に大きな効果が期待できるということで、今後の研究の進展が楽しみだと思いました。
「免疫力」は上がらないけれど
この本を読んだからといって、新型コロナウイルスの予防法が分かるわけでも、免疫力が上がるわけでもありません。ですが、変な情報にまどわされにくくなるという意味で、勉強は大事だなと思います。店頭には関連する書籍(かぜの科学、自然炎症、etc.)が多数あったので、この機会にあれこれ勉強するつもりです。
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