週に25分、月に100分で、古今東西の古典に入門する
この記事では、本の紹介ではなく、NHK教育で放送されている番組『100分de名著』 を紹介します。https://www.nhk.or.jp/meicho/
1か月に1冊の古典を取り上げ、週1回25分、1か月(4回)合計100分間かけて、その本の世界に入門させてくれます。
各回は、研究者・専門家による解説だけでなく、俳優による朗読、アニメーション等を使ったVTR、過去の映像化作品からの抜粋などで構成され、飽きずに見ていられます。
そして1か月見続けると、教科書でタイトルだけ見たことがあった古典が、急に身近に感じられるようになっているのに気付きます。そうなったらしめたもので、書店にいってその本を買いましょう。意外なほどすらすら読めて、楽しめること請け合いです。
これまでに取り上げられた本から
私はこの番組を通じて、いろいろな名著を読んでみる機会が得られました。タイトルは知っていても、読んだことはない、という本を、実際に読むことができた。これは人生をかなり豊かにしてくれたと思います。
たとえば、「茶の本」なんかめっちゃ面白いですよ。西洋と対峙した日本人が、自分たちの中に何を見出したか。とても考えさせられます。
「ソラリス」を読むと『双亡亭壊すべし』で藤田和日郎氏がどういうふうに「海のすがたをした生命体」を理解し、アレンジしたか、想像を巡らせたりできます。
必ずしも、読むのが易しくなるわけではない
ただ、仏教の経典(法華経、般若心経、維摩経など)は、さすがにもとの本に当たるまで行きませんでした…スピノザの『エチカ』も難解で、もとの本は読み進められていません。
やはり、この番組で学んだ後、じっさいに読むか、読めるかは、番組を楽しく見られるかどうかとは別問題ですね。そこは割り切ってみるのがいいと思います。本を先に読むか、番組を先にみるか。それも同様で、割り切りが必要です。
紙のテキストもあります
NHK出版によるテキストもあります。もとの古典を買うのがためらわれる場合は、このテキストを買って、番組視聴の前後に読むのがお勧めです。各段に理解度が違ってきます。もとの本より安いですしね。各月のテキストのほか、関連するテーマの本をまとめたブックレットもあります(幸福論、仏教経典など)。専門家によるよくまとまった解説なので、手元にあると今後の読書の指針になってくれます。
「素人」視点を維持するMC。おかげで新鮮な気持ちで視聴できます
番組MCは、NHKのアナウンサーと、伊集院光です。アナウンサーは入れ替わりがあるのですが、私が知る限り、伊集院光は番組はじまってからずっと続いているはず。したがって、彼には、古今東西の多数の名著について、分かりやすいVTR、まとめを見、専門家に親しく質問する機会があったわけです。
間違いなく知識が蓄積されていると思うのですが、伊集院光はそれをひけらかしません。自身の生活者の目線、体験から、名著の説、専門家の解説に向き合っています。
意識的にやっているのか、無意識にそうなっているのか分かりませんが、おかげで視聴者も新鮮な気持ちで今月の名著に向き合うことができます。
この番組にとって、まさに適任だと思います。僕がこの番組を見続けているのは、伊集院光のおかげだと思います。
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